Apple社は2019年6月3日のWWDCにて、macOSの最新バージョンを発表しました。近年のAppleのmacOSバージョン名は、米国カリフォルニア州内の地名が由来になっています。そして今回のバージョンも、ロサンゼルスの海岸沖に位置するサンタカタリナ島 (Santa Catalina) にちなんで、macOS Catalinaと名付けられました。 この記事では、macOS Catalinaについて知るべき事をご紹介していきます。

macOS Catalina とは?

これはMacオペレーティングシステムの次世代のバージョンで、2019年6月3日に開催されたApple社のWorldwide Developers' Conferenceにて発表されました。 これにはいくつかの新機能がありますが、最も注目するべき点は、iTunesが無くなって、それが3つの新しいアプリケーション (Music、Podcasts、Apple TV) に置き換わった事です。

macOS Catalinaのリリースはいつ?

Apple社からはmacOS Catalinaの発表時に、リリース日のアナウンスはありませんでした。 しかし近年の傾向として、Mojave、High Sierra、Sierraの最終バージョンは、Apple社による新しいiPhoneを発表するイベントの数週間後の9月末頃にリリースがされています。

開発者達はWWDC開催の週からベータ版をダウンロードしてインストールすることができ、Apple社は7月に一般向けのベータ版をリリースすると発表しています。

Catalinaへのアップデートを正しく行う方法

macOS Catalinaを一刻も早く使う為に、一般向けのベータ版が利用可能になった時点で、ダウンロードしてインストールする予定の人も多くいるでしょうが、その前にいくつか行うべき準備があります。

  • Macのバックアップを取得します。 Time Machineなどのバックアップツールを利用して、アップデートの直前に、ご利用のMacの完全なバックアップを作成します。 さらに念のために、起動可能なコピーを作成する事によって、万が一の事態が発生した場合でも、以前の設定に戻って起動できるようにしておきます。
  • 不要データの削除を行います。

      多くの人は、OSのアップデート時にクリーンインストールではなく、古いOSの上に新しいOSを上書きインストールするのが一般的です。 それも悪くはありませんが、まずはその前に、不要なデータを削除するべきです。 不要データで溢れたMacに、新しいOSをインストールする事は、ガラクタで溢れた家を整理しようとして、ガラクタの配置を変えているようなものです。 このような不要データを取り除く上で、最もオススメな手段はCleanMyMac Xの利用です。 これには不要なものを削除する複数のツールが搭載されています。 一番簡単な利用方法は、スマートスキャンのクリックです。

      1. CleanMyMac Xをダウンロードしてインストールします。
      2. それをアプリケーションフォルダから起動します。
      3. スマートスキャンを選択してスキャンを実行します。

      CleanMyMac Xは過去数年の利用で蓄積したシステムジャンクを削除するので、Catalinaへのアップデート前に、何十ギガバイトもの更なる空き容量の確保に繋がります。

      macOS Catalinaの新しい機能とは?

      1. iTunesが無くなります!

          そうです。遂にAppleはiTunesを無くす事を決定しました。 iTunesにカレンダーやリマインダー等の新機能を追加するという冗談がありましたが、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長であるクレイグ・フェデリギ氏によってiTunesの終了が発表されました。 Catalinaでは、それが3つのアプリ (Music、Podcasts、Apple TV) によって置き換わります。 既存のiTunesライブラリのコンテンツは、これら3つのアプリケーションに分散され、iCloudによって同期されます。 Podcasts、TV、そしてMusicは、"Mac上でエンターテイメントを楽しむ為の最高の選択になるように最初から設計した。”とAppleは発表しています。 Apple TVアプリは、次期Apple TV+のストリーミング購読サービスに対応し、Appleのデバイスに接続されているスクリーンとの"handoff (ハンドオフ)"連携を可能にします。

          2. iPadのアプリをMacで利用

          iPadアプリのMacへの移行が、新しい技術により開発者にとってより簡単になるとAppleは発表しました。 Asphalt 9をはじめ、Legends、DC Universe、Jira、TripIt、Fender Playなど、複数のアプリが既に対応しているようです。

          3. Sidecar機能

          MacOS Catalinaでは、iPadをMacのセカンドスクリーンとして利用できるSidecarと呼ばれる機能が搭載されています。 デスクトップの画面をiPadの画面上にも拡張したり、iPadにMacと同じ画面を表示させる事が出来ます。 Sidecarを使用すると、iPadやApple Pencilをグラフィックタブレットのように利用して、描画やペイント、更にプレビューからPDFファイル等の装飾を行うこともできます。

          4. ボイスコントロール機能

          MacOS Catalinaでは、声だけでMacをナビゲートする事が可能です。 更には音声入力の改善や、メイン画面の全表示をキープしながら、別の画面でズームを行う事もできます。 クリック可能な項目の横にある番号の付いたラベルから、そして声を利用して重ねてクリック、選択、ドラッグする事で、アプリを起動したり使う事ができます。 Catalinaでは、テキストの上にカーソルを置くと、読みやすくするために、大きなテキストのウィンドウの表示が可能になります。

          5. 改良された内蔵アプリ

          リマインダーのアプリは、Catalinaでは完全に再設計されており、それらを見つけやすくするために、リマインダーのスマートリストが作成されます。 また、リマインダーに添付ファイルの追加、ツールバーから新しいリマインダーの作成、メッセージからSiriによる新しいリマインダーの提案などの機能が利用できます。

          SafariのトップページとSiriによる提案はアップデートされ、メモアプリは新しいギャラリー表示と検索の改善、および共有フォルダが新しくなっています。

          Catalinaの写真アプリでは、写真の表示方式が改善されており、最高の写真をハイライトして、あまり撮れ具合の良くない写真や重複した写真は後回しにします。

          新しいメールのアプリには、新しいクラシックなレイアウトのほか、送信者をブロックしたりスレッドをミュートする機能があります。 また購読解除のリンクは、メールのヘッダー上部に表示されるようになります。

          6. デバイスを探す機能

          Catalinaの新しいFind Myアプリ (○○を探す) は、Macを探す機能とiPhoneを探す機能、そして友達を探す機能に代わるものであり、これらを1つにまとめたものです。オフラインやスリープ状態であっても付近のAppleデバイスによって検出されるBluetooth信号を発信する事で、iCloudへ中継されてMacを見つける事が出来ます。

          7. プライバシーとセキュリティ

          プライバシーは、近年のAppleの重要なテーマの1つであり、新しいmacOSでは更に強化されています。 アプリケーションは、デスクトップフォルダ、書類フォルダ、iCloudドライブ、外部ボリューム等のファイルにアクセスする前に許可が必要になります。 更にどのようなアプリでも、キーストロークにアクセスしようとしたり、スクリーンの写真や動画を撮ろうとする度に、macOSが通知を行います。

          セキュリティ面では、Catalinaはアクティベーションロックを追加します。これはiPhoneやiPadのように、自身のMacは自分だけが消去したり、再アクティブ化が実行出来るという事です。 Apple Watchをお持ちであれば、それを利用してロックされているメモのロック解除を認証したり、アプリのインストールの承認、更にSafariの環境設定からパスワードの表示ができます。

          8. スクリーンタイムの機能

          Appleの最近のリリースのもう1つのテーマは、ユーザーがスクリーンの前で費やす時間を減らすことです。

          このようにMacのスクリーンもこれに含まれるようになります。 Mac用のスクリーンタイムです。 スクリーンタイムを使用すると、すべてのデバイスに渡るアプリや、Webサイトの制限の設定、休み時間の予定を立てたり、使用状況を確認する事ができます。 エンタメやゲーム等のアプリ、そしてWebサイト等をグループ化して、それらに利用制限を設定する事が出来ます。 ファミリー共有を使用すると、子供などの家族の誰かに制限を設定したり、コミュニケーション制限を設定して、日中や休憩時間の通信相手を制限する事ができます。

          • Appleのホームアプリと、HomeKit開発者キットには新規に2つの追加があります。 1つ目は、HomeKit対応のカメラで作成した記録がiCloudで検出された際に保存して、それらをホームアプリで表示、共有、およびフォトライブラリに保存する事ができます。 もう1つは、ホームアプリのシーンとオートメーションを利用するか、他のHomeKitアクセサリーを使って、Apple MusicからHomePodやAirplay 2スピーカーを介して、音楽やプレイリスト、そしてラジオ等を再生する事が可能です。
          • iCloud Drive

          iCloud DriveはmacOSのアップデートの度に改善が施されています。 Catalinaでは、DropboxやGoogle Driveと同じように、フォルダをプライベートリンクを使って共有する事が可能です。 更にAppleは、macOSのサードパーティのクラウドストレージサービスとの連携も改善しました。

          9. スナップショットからの復元

          CatalinaではmacOSをアップデート後に、使いたいアプリケーションがアップデートに対応していない事が分かった場合には、リカバリの部分に保存されているスナップショットを利用して、アップデート直前のバージョンに戻る事ができます。

          10. QuickTime Player

          アップルのビデオプレーヤーは、ピクチャ・イン・ピクチャ、タイムコード、画像フォルダからの動画作成、および改良されたムービーインスペクタに対応します。

          連絡先の関係ラベル、広東語のキーボード予測、日本語の新しい予測、Siriのインド英語の声など、新しい機能が多数追加されています。

          現在ご利用のMacはCatalina対応モデルですか?

          2012年以降に製造されたMacBook Air、MacBook Pro、Mac mini、iMacご利用であれば、それらはCatalinaに対応しています。 また2017年以降のiMac ProもCatalinaに対応しています。 その以前のモデルの重いMac Proにおいては、対応するモデルは2013年以降のものです。 それより古いMacは、Catalinaには対応していません。

          MacOS Catalinaは、OSの素晴らしいアップグレードになると期待されています。 これはパフォーマンスの更なる改善と、より多くの新機能をもたらして、MacとiOSの連携をより強いものにします。 まずはMacのバックアップを取って、正しい方法でアップデートを行う事が重要です。 そしてCleanMyMac Xを使う事により、アップデートの前に沢山の不要データを取り除く事が可能になります。

          これにより、不要データのみを新しいOSに移行せずに済むので、アップデートの際に必要な空き容量を増やす事ができます。